仕事・人生を考える 深読み絵本紹介


                                仕事・人生を考える 深読み絵本紹介 


陽だまりのような絵本  

 

クリスマスのプレゼントは、もう決まりましたか?


絵本を考えておられる方も、いらっしゃるでしょうね。


今年は特に、仕掛け絵本が充実です。この四角い本の形の中に、どうやってこれだけのものを詰め込めたの?と驚いてしまうような、豪華な仕掛け絵本が目白押しですよ。


最近は「クリスマス」を単に、「サンタさんがプレゼントをくれる日」と思っている子どもたちも多いようです。キリストの誕生の話をきっちりと描いた本は、1冊は読んでおきたいものですね。

ところで、きらびやかな絵本や考える絵本も必要ですが、

ちょっとずれたところで、ほっとできる絵本はいかがですか?

 

『Dearサンタさん』さく・え/ふくだ すぐる

 

クリスマス前に、サンタさんが休んでいると、いろんな動物たちがやってきて、サンタさんにプレゼントをします。単純な線描きの動物たちが考えた、精一杯の心のこもった、そして、くすっと笑える贈り物。なぜか最後にサンタさんは、素っ裸になってしまいます。

(それは、あらいぐまさんのプレゼント…)

この激動の1年に疲れた心に、ほのぼのした時間が返ってきますよ。復興に、支援に、がんばり続けるためにも、陽だまりのような絵本で、少し心を休めてみてはいかがでしょうか。



『ももいろのちいさないえ』


ももいろのちいさないえは、ある男の子の家です。

最初の部屋のドアを開けるとバッタがいて、窓の外の緑の野原に飛んでいきます。次のドア、次のドアとドアを開けるたびに違う生き物がいて、窓の外の違う風景の中に消えていく。

最後に男の子は小さな家を畳んで、ポケットにしまいます。

________________________________________

幼いころは誰もがこんな自分だけの空想の家を心の中にもっているのではないでしょうか。時間や常識にとらわれることなく、思いのままに広がっていく自分だけの世界。

ところが大人になるにつれ、自分だけの家は辛いことや人に言えないことが住むようになってしまいます。この世のものともあの世のものともつかない世界に心遊ばせる時間もなくなっていきます。残念なことですね。

 

どうでしょう、今夜寝る時布団の中であなただけの小さな家のドアを開けて、久しく忘れていた想像の世界に想いをはばたかせてみませんか。最初は現実に引っ張られて難しいかもしれません。でも何度か繰り返すうちに、思いもよらなかった部屋のドアを開けてしまうかもしれませんよ。

 

『ももいろのちいさないえ』おかいみほ作・福音館書店



影も一緒に味わってください。

『Little tree』という絵本をご紹介します。


一本の木を人生に例えた絵本はいくつかありますが、この絵本の特徴は、年月とともに変化する木がポップアップ(立体)になっていることと、言葉(文章)が最小限に抑えられていることです。


雪の中に小さく芽生えた木が、年月の移ろいの中で成長し、そして…陰で表現された周りの風景や人物も変化していきます。そしてそこに、立体で表現された木の、本物の影が映し出されて重みを加えます。

 

一日中一つのページだけを開いたままにしておいても、時間の経過に従って、影も姿を変えていきます。この一本の「木」は、読者自身でしょうか。それとも、陰で表現されている人が、そうなのでしょうか。そしてなぜ突然に「木」は…


木の変化だけでなく、影として描かれた人たちや街並み、そして実際に絵本上に投影される本物の影の移ろいも重なって、深い深い時間の流れが感じられます。

そこにこれまでの自身の人生を振り返る人、哀しみや苦しみに疲れている心の再生を見る人…

静かで、深くて、そして美しい絵本です。添えられた文字列の配置にまでこだわった芸術性の高い作品でもあります。


『Little tree』駒形克己:作 / ONE STROKE:発行



ありのままの自分を生きる  

『はじめてのふゆ』ロブ・ルイス・作/ふなとよしこ・訳/ほるぷ出版

 

仕事をするときでも、人生をいきていくうえでも、「展望を持て」ということが、よく言われます。


確かに「こうなりたい、こうなるんだ」という自分の姿や仕事上のゴールを明確にしておけば、どうやってそこにたどりつくかという段取りも組みやすくなります。その結果、より効率的に目指すところへたどり着くことが出来ます。結果を得る確率が、格段によくなります。


しかし、現在の日本の状態は、なかなか未来像が描きにくい状態なのではないでしょうか。大震災、放射能、電力不足などにより、経済は破綻寸前。リーダーの不在。企業の海外流出…。

個人の力ではどうにもならにような不安がいっぱい。


「ああ、もっとこうしておけばよかった。これからは、どうなるんだろう」こう考え始めると、精神的につらくなってきます。でも、うえのセリフをもう一度見直してください。「こうしておけば…」「これからは…… 」


「今現在」という視点が抜けています。

政治学者の姜尚中さんが講演で、言っておられました。

「今とここで頑張る、生きることが大切です」

________________________________________

『はじめてのふゆ』に出てくるヘンリエッタというじねずみは、お母さんをなくして、たった一人で初めての冬を迎えます。周りの人たちに、食べ物をたくさんたくわえておかなくちゃだめだよと言われて、せっせせっせと木の実などを集めます。

ところがやっと集まったと思ったら、大雨で流れてしまったり、虫に食べられてしまったり…

それでもくじけずに、今やるべきことに一所懸命に取り組みます。


そうしたら…。

「おかあさんがいたらなあ、これからどうなるんだろう」

そんなことばかり考えていて動けなくなっていたら、すてきな春まで持たなかったかもしれません。


「今とここで」

姜尚中さんは「Now and Here」ともおっしゃっていました。とにかくありのままの自分で今を生きてみる。その大切さ、素晴らしさを教えてくれる絵本です。


              

                仕事・人生を考える 深読み絵本紹介